| 傷病名 | うつ病 |
| 年金の種類 | 障害基礎年金 |
| 等級 | 2級 |
| 請求方法 | 事後重症請求 |
| 年齢・性別 | 32歳・男性 |
山下真平さん(当時32歳・男性、仮名)は、幼少の頃から心身の発育が遅れ気味で、人見知りが激しく、引っ込み思案な性格だったと言います。
高校では、1年生の3学期にいわゆる引き篭もりで不登校の状態となり、2年で中退してしまいました。その後も、無気力、厭人的傾向はますます強くなり、終日、自宅に引き篭もってパソコンに凝ったり、テレビをぼんやりと眺めて過ごすことが多くなっていきました。とても、まともな就職などできる状況ではありませんでした。
お母さんは、こうした息子の様子に病的なものを感じ、将来を案じて保健所に相談したところ、県精神保健福祉センターを紹介され、毎月1回約1年間、相談に通いました。しかしここでも、さしたる効果はありませんでした。
その後、近所のスーパーにパートとして就職したり、莫大な経費をかけて公立の青少年自立支援施設に入所させたりしましたが思うような回復は見られず、某ケーキメーカーなどに入•退所を繰り返したり(まともな就職はこの期間だけ)してきました。
因みに保険料納付要件期間はと言うと、これらケーキメーカーなどに勤務していた間の2年5ヶ月の厚生年金被保険者期間と、国民年金については、保険料未納問題が話題になってから慌てて手続きしたときの、わずか1年6か月の納付実績しかありません。
そうこうするうち本人も自分自身の異常さに気付いたようで、自らM医院(心療内科)で初めて受診しました。つまり、この日が医師による初診日ということになります。
それから更に、精神科の専門医であるAクリニックに転医し、引き続き今日までAクリニックで受診しています。
ところが本人は、定期的に受診しなかったり、薬を飲んだり飲まなかったり、病気を積極的に治そうという意欲が乏しいこともあって、無気力、厭人的傾向、浪費癖、自殺願望等の症状は、一向に軽快する気配がありませんでした。
そしてある時、Aクリニックで処方された抗うつ薬3週間分200錠を一度に服薬して自殺を図るに至り、意識不明に陥った山下さんはB医科大学病院に緊急入院するという事態になってしまいました。幸い胃洗浄等の処置が早かったので一命を取り止め、約1週間後には退院することができました。
退院後はAクリニックに2回通院しただけで、現在は自宅療養中です。一日中、自宅に引き篭もって一歩も外出せず、人におびえ、他人との接触を極端に嫌がり、意思疎通もままならない状態です。浪費癖があるので金銭管理は家族が行なっており、受診するよう強く促したりもしますが、本人はかたくなに拒み、服薬もしない、これが当時の状況でした。
お母様から社会保険労務士に電話相談があったのは、そのような時期でした。
電話を受けた相談員の判断で、初診日要件、保険料納付要件ともに問題があるが、何とか年金受給の可能性を探ってみようということで受託し、直ちに裁定請求の準備を始めたわけです。
まず初診日要件についてですが、さきのM医院の初診日当日は国民年金の被保険者期間中ではあったものの、保険料納付要件は、前記のような事情で充足しませんでした。
そこで私はお母さんに、出生から今日までの生い立ちについて細大漏らさず記録したメモの作成と、参考になる資料探しを依頼しました。
その結果、さきの県精神保健福祉センターの相談診療券が見つかったのですが、それは山下さんが20歳未満の時期だったのです。
これで山下さんが発症したのは20歳前であることが証明できることになりました。20歳前は保険料納付義務がない時期ですから、納付要件は問題になりません。
それで、20歳前障害の事後重症ということで裁定請求の手続きをとることとしました。
ところが、その初診日について一つ問題がありました。それは、上記センターに相談や生活指導を受けるために出向いていたのは、山下さん本人ではなくお母さんだった、という事実です。
発症当時は、山下さんがまだ高校生という、思春期の多感な時期だったので、お母さんは本院を精神科の病院などに連れて行くのは忍び難く、一人で上記センターや病院に、治療方法や生活指導等についての相談に出向いていたというのです。
この点について診断書を書く主治医からも市役所の担当者からも、本人が受診していなくてお母さんが相談に行った日を初診日とすることはおかしいのではないか、という指摘を受けたのです。これに対して私は、精神障害の特殊性を訴え、説得した結果、最終的に県精神健康福祉センターの証明書を添付することで、その最初の相談日を初診日とすることで決着がつきました。
それからほどなく裁定請求書を市役所に提出した後、山下さんは、異例の2か月という速さで2級障害基礎年金を支給するという裁定通知書を受け取りました。
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